高張力鋼の使用部位を拡大しボテイシェルの軽量化を図る

 

今回はアンダーボディはキャリーオーバーされており、アツパーボディが新設計となる。

 

高張力鋼板は使用グレードが高められており、従来は上限が590Mpaだったところ、新型では980Mpa級まで採用。
それ以外の部位でも、強度のグレードを上位にシフ卜しており、薄肉化して軽量化を図っている。

 

980Mpa材を使用している代表的な箇所はAピラー。
視界改善のために細くしても衝突安全性を維持するため、鋼板の強度を高めた。

 

ボディシェル全体のつくりはオーソドツクス。
開口部の広いミニバンなので、弱点になりやすいバックドアまわりのコーナーを重点的に補強している。
特にデュアルバックドアの採用で、バックドア開口上部の骨格断面が制約されるため、この部分を集中的に強化。
ガセットの板厚を高めているだけでなく、ボル卜径も拡大するなど、結合剛性の強化も図られている。
これらの対策は重量を増やす方向だが、新型のボディは従来型比で約12kgの軽量化に成功。
ポイントは骨格結合部の構造見直しで、稜線が滑らかにつながるようにしたのに加え、複数のパネルが接合される部分の溶接位置と順序の見直しを実施。
効果の薄い補強材を廃止して形状と溶接位置で剛性を補っている。
軽量化は外板部材にも及んでおり、ボンネッ卜はアウター/インナーともに鋼板の厚さは1ゲージダウン。
ウインドウスクリーンの合わせガラスも内側の板厚を薄くし、約1.5kg軽量化している。

 

アンダーボディは基本をキャリオーバーしながら、操安性に関わる部分の強化を図った。

 

フロン卜はストラットアッパーの取り付け部を補強しているほか、左右をつなぐカウルアッパーにしっかりと稜線を通し、タワーバー効果で倒れ剛性の向上を実施。

 

リヤもダンパー入力点に補強を追加。

 

全体の捩り剛性は約5%向上しているとのことだが、局部剛性を高めることによって、操舵応答性は約12%向上している。

 

外装面での特徴は、上下に分割されたフロン卜フェンダー。
デザインからの要求で、三角窓の前端を鋭角にしたかったからというのが理由だ。

 

鋭角を受ける部分の成形が、板金のプレスでは成立しなかったのだ。

 

樹脂を使えば一体物でも可能だったのでは?と問えば、上面が直射日光に晒される場所なので、退色して見栄えが悪くなるのを嫌い、あえて板金にこだわったとのこと。

 

小さい部品ながら、成形には6工程を要するそうだ。

 

 

 

後席の広さ感を高めるためには、スライドレールの戸袋を縮小。
レールまわりのクリアランスの見直しを行ない、ボルトの長さまで見直すことで、室内側の抑揚を最小化。

 

へッドライニングを約10mm外に出して、頭上空間を拡大している。

 

前項で触れた新機軸とは、ハンズフリーオー卜スライドドアのこと(グレードによつて標準またはオプション)サイドシルプロテクターの側面と下面に静電容量センサーが付いており、足先を入れて引く動きを検知するとオートスライドドアが自動開閉する。
センサーをふたつ付けているのは' 子どもや動物が通った際などの誤作動を防ぐため。

 

スマー卜キーを持っている人が約80cm以内にいる場合にのみ作動するようにして' 安全性を確保している。

 

バックドアにも新機軸を採巧メインとなるドアの上半分にハーフバックドアを加えたデュアルバックドアを採用する。

 

開くのはガラス部分だけでなく、周囲を囲むフレームごと開く。

 

インナーフレームには、グラスファイバーを混入したポリプロピレン樹脂を採用。
アウターはポリプロピレンとして、重量と操作力を低減している。

 

ガラス部だけを開くようにしなかったのは、開口部の下端が高くなり、小柄な人では使い勝手が悪くなるから。

 

日本人女性の体格を調査した結果、開口高さは1040mmが適当との結論を得たため、それを確保するには外フレームが必要だった。

 

アッパーバックドアを開いた際の張り出し量は480mm。

 

これは一般的な駐車場の後方空間が平均550mmであることから決定。

 

狭い場所でも開けられるだけでなく、荷物が転がり落ちる心配をせずに開けることができる。

 

積み込む際にも、荷崩れを心配せず、上から放り込める。

 

大きなバックドアに樹脂フレームのハーフバックドアが加われば、振動する要素が増えてこもり音が出なかったか?と問えば、「事前の解析を十分に行なったため、ダイナミックダンバーに頼ることなく一発で仕様が決まりましたとのこと。

 

 

 

細かい部分では、ガソリン給油ロのキャップレス化で利便性を向上。

 

漏れ止め用のインナーフラップと、異物混入防止のアウターフラップの二重構造とすることで' ねじ込み式の給油キャップを廃止。

 

リッドオープナーの操作で給油リッドを開けば、給油ノズルを差し込むことができる。
これによって、キャップが開かなくて困ったり、閉め忘れたりと言ったがなくなる。

 

 

サイドドアガーニツシユには、外装部材として世界で初めて発泡PP材を採用。

 

熱で気化する粉末を母材に混ぜることで、成型時の熱を利用して発泡させ、約25%の軽量化を図っている。

 

内部を発泡させながら、塗装品質が確保できる平滑な表面に仕上げることに成功したため、外装部品に使用できるようになった。